『怪奇(グロテスク)』とレインボー祐太氏

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『怪奇(グロテスク)』は2015年秋の文学フリマで販売されていたレインボー祐太氏と川勝徳重氏の合同同人誌だ。現在は、新宿ビデオマーケットさんで店頭販売のみされており、非常に手に入れにくい同人誌なのだが、これが素晴らしい。

貸本の雰囲気を再現した残酷絵物語「河童眼球譚」、孤高の脱力ホラー監督ジェリー・ウォーレン分析、サイドショー(見世物小屋)の文化解説等々、異様な世界が紙上で繰り広げられる。
ジェリー・ウォーレンの映画は本気で退屈である。その作品を12本も見続け、監督としての成長について語るなどという行為は、気が狂っているとしか思えない。正直言ってしまうと、ジェリー・ウォーレンの最高傑作といわれている「FRANKENSTEN’S ISLAND」でさえ、俺は辛くて最後まで見ることが出来ない。そんな監督の作品群をレインボー祐太氏はノリの良い文体で面白可笑しく語る。
サイドショー文化解説は、インチキで満たされた米国見世物小屋文化を語り、後述する「サイドショー映画の世界」では語られなかった、見世物小屋への熱い思いを吐き出す。
共著者である川勝徳重氏は漫画をメインに執筆されているが、レインボー祐太氏と感覚が似ているのか非常に相性良い。同氏の牧口雄二論も読み応えたっぷりだ。またストーリーを祐太氏が、絵を川勝氏が担当した「怪奇のっぺら寄席」の狂った雰囲気は最高である。

とにかくオススメなので、是非機会があれば手にとって欲しい。
ビデオマーケットさんでは、映像ソフトと合わせてであれば通販でも販売しているようなので、トラッシュ映画とセットで購入して欲しい。

レインボー祐太氏は、とにかく最高なライターなのでもっと知られるべき存在だ。そこで、ここではさらに彼とそのほかの書籍についても紹介したい。

レビューサイトやレビュー本の多くはトラッシュ映画について「これは類い稀なクソ映画だ!」という切り口で語られている。俺もその例に漏れず、”あんまりな”映画に出会ってしまったときは「ああ、なんたるゴミ!すばらしいゴミ!」と大喜びで駄文を書いてしまうことがある。
トラッシュ映画の魅力がそのクソさ加減にあることは間違いないし、それを満面の笑みで語る紹介文を読んだり書いたりするのは非常に楽しい。
しかし、世の中には、腐臭漂うトラッシュ映画が持つ独特の魅力に並々ならぬ愛を注ぎ、多くの時間をその研究に費やす「普通ではない」希有な人間がいる。それがレインボー祐太氏だ。

レインボー祐太氏は、俺と共にトラッシュカルチャー雑誌「TRASH-UP!!」で映画レビュー連載を持っている。俺が未公開ホラー映画担当、彼は脱力ホラー映画担当だ。
彼との出会いは、新宿ビデオマーケットのレジ横に置いてあった「脱力ホラー映画の世界」という同人誌を手にしたことがきっかけである。
”脱力するほどのくだらない”ホラー映画レビューを100本乱れ打ちする命知らずな本。単なるB級ホラーをあえて無視し、本気でくだらない映画を100本選ぶその選択眼、やたらと味がある挿絵に感動した俺は「この人は凄いかもしれん」と連絡を取るに至ったのである。

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↑これは復刻版。初版は彼が自宅でコピーして製本したものとなっている。

その類い稀なセンスは、かの山崎圭司氏の目にとまり別冊映画秘宝「悪趣味ビデオ学」の第二弾「悪趣味ビデオ学の逆襲」い寄稿するほどとなる。
しかし、彼の知名度はあまり高くない。「脱力ホラー映画の世界」に続いて出版した「サイドショー映画の世界」も”見世物小屋映画”と”見世物小屋”そのものを詳細に解説した他に類を見ない本であるのに、ほとんど知られていない。見世物小屋興行師の情報が詳細に書かれた本などどこにあろうか?絶対に読まれるべき本なのだ。

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↑こちらは「サイドショー映画の世界」 祐太氏曰く”自殺したくなるくらい売れなかった”とのこと。しかし、800円払う価値は間違いなくある。

この2冊の前に「三流怪奇・見世物 創刊号」があるのだが、残念ながら俺は所有していない。是非、手に入れたいものである。

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