月: 2020年9月

Fxxk Believers

 えーっと、僕は『TENET』を楽しんだクチなのですが、何故楽しいか?というと設定がガバガバなんですね。「うん、辻褄は合っているような気がする」と言い聞かせながら観ていると、なんとも馬鹿馬鹿しい内容になっておりまして、

 「あ、こういう”画”を取りたかっただけなのね」

 と思うことしきりでした。俺は普段、こういった馬鹿ガバ映画しか観ていないので、「あ、いつもの感じ」という感触で良かったですねえ。パッと連想した作品は『プライマー』なんですけど、ノーランがあんな複雑な設定を考えられる訳がないので、評価としては”性格のいい人が、無駄に大金を溶かして作った『プライマー』”という感じで落ち着いております。「インターステラ」もガバガバでしたけど、バカじゃないのがイラっとしたんですよね。

 それでですね、俺は『インターステラ』と『ダンケルク』が大嫌いなんですよね。この2つのをおおっぴらに「嫌いだ!」というと、どこからともなく「分かってねぇ」だの「それでライターか。笑わせてくれる」といった輩が登場するわけですよ。過去には文章を添削してくれるアホもおりました。俺はあんたらの感想をけなしたことはありませんけどね!なんで、お前らは人の感想にグダグダ言ってくるんすかね!お前ら『インソムニア』とか耐えられるの?と真顔で聞きたいですね。

 俺はですね、監督を神格化しないんですよ。あの人たちは、別に神様じゃないので、やりたいことをやっているただの人なので。でも多くのノーランファンは彼を神格化しているでしょう?統計は取ってませんけど。俺には全く理解できないんですよね。ああいうの。監督は監督、作品は作品、ブレがあって当然、好みが合って当然、評論も賛否あって当然。それなのに作品を否定すると、否定者の人格を否定し出す。もはや異端者、魔女焼きですよ。なんでしょうね、あれ、オエーッとなりますね。特にノーランファンってそういう人多くないですか?気のせいですかね。

 俺はノーランの映画では『メメント』、『インセプション』、『プレステージ』は好きです。ダークナイトめんどくさい。『フォロウィング』はまあいいじゃないですかね。『Doodlebug』は結構好きです。

 と、今日は思ったのでした。

ツイ廃の善し悪し2

 新宿でかき氷を堪能していたとき、ふと思いついた。

「牛乳石鹸も飽きてきたし、またラッシュのドギツイ香りのボディシャンプーでも買うか!」

 冷え冷えの体を日光で暖めつつ東口のLushへ。いつも使っていたボディシャンプーが見あたらず、ウロウロしていたら店員に捉まってしまった。Lushの店員さんは、カルト的に自社製品を愛しているので、ノンストップで各商品について熱弁を振いつづける。

 「いや、そりゃ良い香りだけど、ただでさえ高いのに、あれも!これも!なんて買えるわけねぇ!」

 そんな思いに顔歪ませつつも愛想笑いで店員さんにお付き合いをする。俺は店員に捉まってしまうと、なかなか離脱できないのだ。だが、買わないのがこれまた申し訳無いところなのだが。ボディーシャンプーと香水だけで1時間近くも語られた後、目当てのボディシャンプーを手にレジに並ぶ。レジ横に「Digital Detox」のPOP。「明日はSNSをお休みしよう!」という旨の掲示にハッシュタグが書いてある。ん?ハッシュタグ?

 「明日はデジタルデトックスの日なんですよ!皆でSNSをお休みしようという……。なので是非、お客様もタグを付けてツイートを……。」

 「えっと、趣向は理解出来ますけど、なんか、いや、完全に矛盾してないですか?」

 「はい!そうなんですよ!!でも、お休みしようというね!あはは!」

 何を言っているんだ?頭、大丈夫なのか?会計中も「???」となりながら、店を出た。俺は翌朝「今日のカモちゃん」のツイートを流した。ちゃんと聞いてみれば、テラス某の件で話題になったネットイジメに警鐘を鳴らしたいという意図とのこと。

 俺は意図的にTwitterアプリを入れず、Webアプリで利用し、気軽にツイートができないようにしている。絶対余計なことを言うからだ。インスタもiPhoneの4画面目に位置しているし、FacebookはPCでしかみない。

 ツイ廃といえば、数週間前にTwitterアカウント消した人が、某ット公開と共にアカウントを復活させていた。「やるだろうな」とは思ったけど、ホントにやるとは思わず、苦笑。ああいうツイッタラー芸人になったら終わりだなと思いました。

銀髪

 白髪を黒に染めることに飽きて、赤や青や紫に染めてきたが、2年前に長髪を切り落としたことを機会に髪の毛を染めること自体を止めた。止めてみたら、知らぬ間に大量の白髪が発生しており、白黒が絶妙な混ざり具合で、すっかり銀髪になっていた。

 「染めてるんですか?」

 以前の髪染めの影響で周りに頻繁に聞かれるが、染めていないだ。銀髪感を統一するためにシルバーワックスを使ってみたこともある。しかし、使っても使わなくてもパッと見かわらないので、今は素髪である。よくもまあ禿げずに綺麗に白髪が交じってくれたもんだなあと、遺伝子に感謝だ。

 とりわけ外国では「お前の髪の毛、クールだな!」と褒められまくった短髪半分モヒカン。そろそろ飽きたので、再び長髪に戻そうとしている。それにしても、髪の毛を伸ばすのってこんなに辛いモノだったっけ?と。前髪のウザさ。なんとかならんのか。

『Babyteeth』(『ベイビーティース』)を観た。

 俺は余命映画が苦手だ。余命映画が人気を博す度に、「世の中、悪趣味な人が沢山いるもんだな」と、自分の趣味を棚に上げてよく思ったもんである。昔は小児ガンに冒された子供を使った泣かせ2時間ドラマが頻繁に放送されていた。ウチの両親は好きで観ていたが、”辛み”しか残らないので俺は観なかった。”誰かが死ぬ”ことが確定していて、その”誰か”が迫りくる死の恐怖に苦しむ姿を観てどうしたいのよ?と。ホラー映画でガンガン人がぶっ殺されるのとはワケが違う……と思って。

 『Babyteeth』は余命映画だ。なぜ、この映画を観ようと思ったのか分からないが、なんとなく”これまでなかった明るい余命映画”という印象を受けたからだろう。

 主人公ミラの病名は明かされない。ただ余命幾ばくもない10代の女の子。両親の勧めでヴァイオリンを習っているが、どうにも気が乗らない。だってもうすぐ死ぬんだもん。

 彼女の父親ヘンリーはセラピスト。母親アンナは元ピアニストの専業主婦、夫のセラピーを受けて娘と自分の状況を見直そうとしている。おそらくは2人の精神状態は限界なのであろう。セラピーの時間は夫婦のセックスの時間となっている。

 加えて、娘のヴァイオリンの先生はアンナの元彼だし、ヘンリーは近所に住むノホホンとした妊婦に惹かれている。この奇妙な状況の中、ミラが連れてきた”彼氏”はドラッグディーラーのモーゼス。モーゼスは一家の事情を知らずやりたい放題。さんざん彼らを振り回すが、彼との邂逅はミラの残された人生を一変させていく。

 小さなエピソードの断片を繋ぎ合わせ、面白可笑しく奇妙で、時々殺伐とした一家の生活が描かれる。あまりにも断片的すぎて、余命映画感はほとんどない。

 「この子は、本当に死ぬのだろうか?」

 と思わせる程、死の臭いはしない。ただ、忍び寄るその影は確実に彼らを蝕む。モーゼスのために処方箋を偽造する、気軽に向精神薬を過剰摂取種してラリってみる等、様々な出来事が起こる。結局のところ誰もが「辛いけど気にしない」なぜなら「もうすぐ死ぬから」だ。ミラは時折、第4の壁を越えて「やってやった!」「私はもう死ぬ」など我々に心情をカメラへの視線だけで訴えてくる。まるで

 「ねぇ、信じられる? 私、もうすぐ死ぬんだよ?」

 と言っているかのようだ。

 切り刻まれた脚本は斬新である一方、常に断片的で人物描写の掘り下げが浅く、諸手を挙げて褒められる映画ではない。しかし、最後の10分間。すべての役者が全力で「死」と「遺」を表現する。モーゼス役のトビー・ウォレスはベネチアでマストロヤンニ賞を獲ったそうだが、そりゃ獲るわと。でも俺は、ベン・メンデルゾーンの「娘の死を察した」無言芝居が凄すぎて、泣きそうになりました。

 多分、日本公開されるでしょうが、下らないサブタイトルを付けられることなく公開されることを祈っております。

通勤のお楽しみ。

 「まつ毛が長いな」半蔵門線、渋谷。目の前で眠りこけている会社員。長津田あたりからガッツリ寝てきたのだろうか?彼の閉じた目のまつ毛は、マスクに触れんばかりの長さだ。永田町まで三駅、じっくりと彼の寝顔を見て楽しむことにする。

 背は175cmぐらいか。熟睡の末に投げ出された足は、俺の股の間にある。耳にかかるくらいの長さで揃えた髪の毛はサラッとしている。耳にはiPhone付属のイヤホンがぶっ刺さっている。そのイヤホン、俺の耳に全然合わなくて、入れても入れても落ちくるんだよなあ。俺の耳のかたちっておかしいのかね。それにしてもどうだ?朝からおっさんに観察される気分は?

 「ながたちょー、ながたちょー」

 人を見ていると、あっという間だ。彼も突如、投げ出した足をシャキン引っ込め、姿勢を整えると下りる準備を始める。「おお、君もこの駅かい。そうかいそうかい」永田町から改札までのエスカレータはやたら長い。そして混む。起きがけの彼を置き去りに……とはいっても連れでもなんでもないが……エレベーターに乗る。やってはいかんのだが、右側をスタスタと歩く。歩っている間は、上り段数をカウントする。エスカレータなので、登る速さによってカウント数は変わる。今日は42段。

 「42。すべての答えか……」

 もはや今日の答えは出たのだから、適当に過ごしてかまわんだろう。黒マスクの下でニヤリとしながら有楽町線ホームへ向かう。