クリント・マンセルは何故注目されないのか

 みんな大好き『レクイエム・フォー・ドリーム』のサントラに収録されたLux Aeterna。この曲は何故か一人歩きをしておりまして、LotRをはじめとした予告編専用楽曲と化しております。

 ピュアな劇伴家じゃない人が映画音楽を作るようになって久しい。しかし、クリント・マンセルが好きな人だと声高に言う人をあまり見かけない。クリント・マンセルと同じインダストリアル系(ビッグビート系と思われるかもしれないが、彼の1stの鉄工所具合は相当ヤバい)であるジャンキーXLは、マッドマックスで有名になったでしょ?で、その後、DC系の映画に手を出したから、所謂アメコミファンダム野郎がちょっと知ったかぶっこいて「ジャンキーXLは……」とか言い出しちゃって、今では、妙な扱いをされているじゃないですか。

 一方のクリント・マンセルは、『π』からずっとダーレン・アロノフスキー作品の常連だし、『DOOM』やら『月にとらわれた男』もあるのに、どーにも火が付かない。作る楽曲はジャンキーXLよりがっしりしているし、ハンス・ジマーとくらべてもいいじゃね?と思うんだけど、どうですかね。だめですかね。

先日TWDでかわいそうな目にあったゾーラ・バーチ、今となっては大物女優のキーラ・ナイトレイが出ている『穴』の曲が非常にミニマルで良いです。

生存確認

 昨日は「死霊のフリマ」にお邪魔してました。目当ては『Zombie Infection』のデモバージョンだったのですが、クローネンバーグ本がビックリするほど安値で売られていたので、そちらも購入。(しゅう豚骨さん値引きありがとう!)

 でも買い物というより生存確認的な意味もありました。というのは、やっぱり、こう、ビデマさんで知り合った方とか、以前イベントに来てくれた方とか「元気かなぁ?」と思うわけですよ。一度逢ってしまったら、他人ではないですから。主催の中西さんにもお世話になっているのに、なかなかタイミングが合わないこともあり、申し訳ないなあと。でも、皆さんお元気そうでなにより……と。

 今朝ほどツイートもしたんですけどね、40歳超えると、手の届かない場所に行ってしまう人がいるんですよ。実感したのは、7年前ですか。大学の先輩が行ってしまいまして。あえて明確に言いませんけど”良い行き方”ではなかったので、緊急同窓会が開かれましてね。

 「なんで、もっと会ってなかったんだろうね」

 という話になりまして。もし会ってたら、行ってしまった彼は、まだ手の届くところにいたのではないか?なんてどうしようもないことを考えたりして。

 だから「会える人には、会えるときに必ず会え」と思いながら生きることにしたんですね。でもそれがなかなか難しい。「難しい」と思っているウチにどこかに行ってしまう人がいるかもしれないし、もはやどうしたらいいんじゃ!とね、なってしまうんですよね。

 難しいもんです。

アニメを観て泣いてました。

ここ2日、日記を書いてませんでした。忘れていたわけではなくて

 「あー、やべー!映画boardさんとは月一本は書く契約だった!」

 と思い出しまして、記事を書いておりました。それから何本か原稿の積み残しがあり、下調べもしなければならず、“思い出日記”を書いている場合じゃなかったんですね。一応、タスク管理はしてるんですけど、見ないふりをしていては意味がありませんねぇ。

 最近、思い出日記を書いているのは、文体の練習なんですよ。コッソリと小説書いているじゃないですか。でも案の定、狙っている賞の提出期限には間に合わず、さてどうしたものか?と悩んでおります。悩んでいるといっても、まだまだ完成には程遠いので半年後を目指して淡々とやっております。もちろんホラーフィクションになります。自業自得とはいえ『日本沈没』に端を発するインチキ映画ライターの件でエネルギーを消費してしまったのはここ数ヶ月の反省点ですね。無駄だったなと、実に無駄だったなと!死ねばいいのに俺。

 あー、それから昨日泣きました。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が話題でしょう?俺、流行らないとアニメを観ないので、ようやくTVシリーズを見始めたんです。7話目の劇作家のエピソードですか。奥さんと晩飯食いながら見ていて、途中から米粒が鼻から出る勢いで我慢ならず涙がでましたね。鼻かんだら、実際に米が出でてきましたけど。外伝含め映画版上映期間中に見終われるかわかりませんけど、見終われたら劇場に行きたいと思いました。

カチカチとリレースイッチを切り替えるだけのプログラムを作った想い出

 なんのこっちゃワカランと思うが、なんとなく今日、思い出したこと。

 プログラムを作り始めて35年になる。これまで作った中で一番面白かったのは、高校の卒業制作で作ったプログラムだ。面白いといっても、一次元配列を順に読み込み、RS-232で繋がれた制御基板上のリレースイッチを順次ON、OFFしていくだけの単純なもの。制御基板から触手のように延びている600本のケーブルは、オーバル型に切られた木製の線路上に敷き詰められた300個の電磁コイルに接続されている。電磁コイルは、リレースイッチに呼応し、S極とN極が入れ替わる仕組みだ。

 線路の上には短いホチキス型の車両が乗せられている。車両の両足には磁石と車輪が取り付けられが、車両本体は木製線路に車輪でしがみつくような形になっている。

 この横2メートル、縦1メートルのオーバルは、所謂鉄輪式のミニリニアモーターカーだ。プログラムを実行すると、カチカチという音と共に、ホチキス車両がズリズリと前進する。配列を読み込む際にウェイトをかければ遅く、ウェイトを取れば早く動くし、配列を逆から読めば前進・後退ができた。

 ぶっちゃけプログラム自体は小一時間でできてしまうほど簡単。時間が掛かったのはオーバル線路と電磁コイル基板、コイル制御基板の製作だった。どっちかと言えば、そっちの方が楽しかったかも知れない。3ヶ月は掛かったと思う。ハードを作ることとハード制御は本当に面白い。多分今でも面白いんじゃないかなあ。

許される女、許されない女、見ているだけの男

 1996年。秋。居酒屋。

 『なんで、みんな私のことはせめるのに、ナッちゃんには何も言わないんですか?』

 後輩のショーコちゃんがで目の前で怒っている。彼女の怒りはもっともなのだーーが……。

 ショーコちゃんは数日前の夜、同じサークルの男、ノブミツの部屋に侵入。全裸でベッドに潜り込む強行手段に出た。しかし、ノブミツは彼女の誘いを拒否。さらにノブミツは、この二昔前で言うところの”夜這い”行為をサークル内に漏らしてしまったのだ。

 結果、ショーコちゃんは、その行為を聞きつけた男性陣から

 「いくらノブミツの事が好きでも、やり方ってモンがあるだろ!」

 と説教を食らったのである。”やり方”の問題とか、男女逆だったら洒落になっていないとかはさておき、”結局のところ、何もなかった”のだから、ノブミツが件を秘密にしておけば良かったのだがーー。何故、バラしてしまったのかノブミツよ。

 で、ナッちゃん。ナッちゃんはショーコちゃんと同じ年代。彼女はサークル内の同学年、そして一つ上ーーつまり俺の学年ーーー2世代に渡ったサークル内部の男のほとんどと一度は寝ている程度の暴れん坊であった。大学卒業後も含めて、彼女と寝なかったのは俺を含めて4人(誰か曰く「お前は半分食われているから違う」とのこと。詳細は後述)、男数は2世代合わせも10人以上はいたので、かなりの悪食である。

 そういう女は大抵”サークルクラッシャー”と呼ばれるが、ナッちゃんはクラッシャーではなかった。どういうわけか、ナッちゃんと付き合った(寝た)男たちは、別れた後もナッちゃんと普通に接し、ナッちゃんと付き合った男たち同士も仲違いすることもなかった。

 ショーコちゃんは、ナッちゃんの暴れっぷりと比較して、たった一度、少しはっちゃけたくらいで、何故、サークルの男どもは揃いも揃って、自分に説教をたれてくるのか?と俺に問うているのだ。

 言ってしまえば、ルックスの問題に終結してしまうのだが、改めて聞れてしまうと「それはナッちゃんのほうが可愛いからでしょう」とは言えない。

 「そうねぇ、ナッちゃんのほうが自然だったんじゃないの?色々と。」

 「だって、ジョージさんだって、ナッちゃんの”襲撃”にあったことあるんでしょう?」

 ああ、そうだった。去年、安比高原のロッジに泊まったときだった。昼は皆とスノーボードに明け暮れ、夜は酒をカブ飲みしてヘロヘロになり、疲れ果ててベッドでフニャフニャになっていた。俺が寝ていたのは2段ベッド上、下には後輩のアツシが寝ていた。このときナッちゃんはアツシと付き合っていたのだが、ごそごそ音がしたと思ったら、ナッちゃんが俺の布団に潜り込んできたのだ。

 「おい、アツシは下だぞ」

 「ここでいい」

 「はい?」

 と返すや否や、突如ブチュとキスをしてきたのだ。一気に吹きあがる性欲。下にアツシが寝ているという背徳感、酒で緩みきった脳、思考が歪む。だが、このとき、俺は勝った。自分には彼女がいる。アツシとは仲良しだ。ここでナッちゃんとやってしまうわけには行かないと。この件は、後で拗れて大変なことになるのだが、それはまた別の機会に。話を戻す。

 「あるけどねえ、やられた方は、良い気分は・・・うーん。」

 「よくない?」

 「よくないねえ」

 「でも、分かってますけどね!」

 キリッとショーコちゃんは言う。

 「結局、ナッちゃんの方が可愛いって話でしょ?」

 なーぜーきーいーたーーーーー!知ってるなら、分かってるなら、何故聞いた?俺が気の利いた事を言える先輩だと思ったか?消火器をまき散らしたり、酔ってもいないのに、面白そうだからという理由で服を着たまま海に飛び込んだり、工事現場から巨大三角コーンを盗んだり、中古車屋から電飾を盗んだり、でかい電子レンジを作って動物の死体を焼いたりするキチガイだぞ!バイト先ではゲラゲラ笑いながら「どすこいシスターズ」を平置きするような男だぞ!安パイか?何か?彼女がいる俺は安パイか?一緒に酒飲んでも安全なバカでアホな安パイか?あー、そうですかそうですか!とは言いませんでしたが、21歳の俺にゃあ

 「そうなっちゃうよね」

 としか答えられず。でも今、あの居酒屋に戻っても何か気の利いたことは言えたか?と言えば言えなかっただろうなあと。

 今、ショーコちゃんは何をしている知らない。ナッちゃんとは7年前、ノブミツ家で開催された同窓会にて架電。地元群馬で実家暮らしであること、結婚は既に諦めているが、子供は欲しいので子供だけ作れないかトライしたものの巧くいかなかった。加えて、親が外出を許してくれないとも言っており、一体、彼女の身に何が起こっているのか心配だが、心配になったーーだけである。多分、彼女は許される続けるからだ。

※ちなみに、盗んだ電飾は返しました。三角コーンは未だに大学の部室にあると思います。