サイトシアーズ~殺人者のための英国観光ガイド~
エドガー・ライト製作が全面に推されているが、「キル・リスト」のベン・ウィートリー監督ってのがスキものには気になって仕方が無かった作品。 親離れも子離れも出来てない親子関係の中、ぼーっと人生を過ごしてしまったティナはすっかり中年おぼこババァになってしまっていた。そんな彼女が、最近やっとできた彼氏、クリスと初めての旅行に出ることに。「何も知らないキミに世界をみせたるわ!」と格好良く勢いづくクリスにすっかりのぼせたティナは、「ちょっとアンアやめとき!そんな付き合って間もない男と旅行なんて!」母親の静止を振り切り、家を飛び出す。楽しい田舎風景を楽しむ2人だったが、クリスが「バスの中でポイ捨てしたむかつくオッサン」を轢き殺したことからトンだ、殺人旅行に発展していく。クリスのサイコっぷりにドン引くティナ。しかし、彼女にはクリスか母親の2つの選択肢しかないわけで、八方ふさがりのままクリスに同調していく。
サイコキラーとまわるイギリス観光、イギリスっぽい真っ黒コメディ。基本シモネタが多く、面白可笑しく人が死んでいくので、バカホラーコメディ印象が強い。しかし、これはティナの自立の話である。主人公の2人を演じた役者が脚本も書いているので芝居がやたら生々しいのが気持ち悪くて良い。 「キル・リスト」もそうだったけど、ベン・ウィートリーは、原っぱを撮るのが巧い。さらに必ず"怪しいプリミティブな連中"を登場させることからも垣間見られるように、たぶんこの人、「ウィッカーマン」とか大好きなんだと思う。
不安の種
そもそも一話5ページも満たない原作漫画をどうやって、長編映画にしたんだろ?まさか細切れオムニバスなのか?っと勝手に心配したが杞憂に終わった。 TRASH-UP!!の屑山さんが「これ、いいよ!」と言っていたとおり、最近の日本のホラー映画の中ではかなりできはいい。原作エピソードを巧いこと散りばめ一本の大きなストーリーになっている。とはいっても、ねじ込んだ感はかなりある。しかし、このねじ込み感が還って良いカオス状態を引き起こし、変な勢いに変換されている。これは面白い・・っていうか楽しい。 とりあえず、胴体が真っ二つになったり、出刃包丁を逆手持ちで「刺すべし!刺すべし!」とやる映画と思って見れば良いんじゃ無いかなあ。
その他、これと言ってどうってことないヤツ
スタートレック イントゥ・ダークネス
都合の良いところから突然ナイスアイテムが登場したり、エンタープライズ号の動力源を昭和のTVよろしく蹴っ飛ばして直すとか、なんだかもうのれないと辛いだけの映画だった。カンバーバッジさんの良い声と眼力、スポックのバルカン・アタックだけは頭に残る。JJ大嫌い。
インシディアス 第2章
「死霊館」の中途半端なゴシックホラーが全く合わなかったが、本作のように「あくまで見世物」としてのお化け映画は大好きである。リー・ワネルの脚本は相変わらず楽しさ重視なんだなと。ジェームズ・ワンは生真面目すぎるので、彼と組んだ方がバランスが撮れるんじゃ無いかなと思う。 椅子メッタ殴りするシェイ・リン、この人はなにやらしても楽しい女優さんだなあ。
死霊の囁き
可哀相なのは「残響」という原題から連想されるとおり、ややオカルト方面に振ったタイトルとその内容なのに、リメイク版「死霊のはらわた」のソフト化に合わせて発売されたもんだから、内容と全く違う売り方をされてしまっている点。 呪われたスタジオどうのこうのという、さほど魅力も感じないプロットで演出も使い古されたフラッシュバックエフェクトやノイズばかりなので退屈っちゃ退屈だけど、撮り方は職人のようなカッチリしているためソコソコ見られる。週末の夜、寝落ちするべき鑑賞するような映画(それも可哀相だけど)