「これ、表紙ヤバくね?」
本屋の文庫本棚。隣の高校生2人組が騒いでいる。目をやると、片方はギター、もう片方はベースを背負った女子高生。手に取っているのは『ドグラ・マグラ』だ。
「なんの話なの、これ。で、なんでここ隠してるわけ?」
あの米倉斉加年の表紙。股間を指差し言う。いやー、それ隠さないと本屋に並べられないから!あんたらは”今更隠してどうすんの?”と思っているかもしれないけど、ダメなんですよ!無修正画集は多分、古本屋で高値で売られていると思う。いや、そんなことどうでもいいけど。
「これ買う。知らんけど。面白そう。」
ベースの子が言う。それ買うの?沼にハマってしまいますよ。大丈夫なんですか?いいんですか?
「読み終わったら貸してね」
ああ、ギターの子。ギターの子もですか。そうですか、あんたらのバンド、いい方向に向かうといいね。そんなことを思った日暮れなのでした。