昔好きだった女の子が大人になって出てくる夢をみた。しかし、その女性、2人の女性が合成された存在なのだ。顔を見ると、どちらでもあり、どちらでもない。どちらであるかは見た目でわからない。しかし、彼女が昔好きだった2人の女性であることは感覚として認知できる。
昔の写真を見ながら
「懐かしいね」
などと話す。写真はどちらか一方の顔であり、合成された存在の顔ではない。想い出に合わせて写真の顔が入れ替わる。
昔話は尽きることはなく、夜も更けて、車で家まで送ってもらえることに。やたらと車高の低い車。助手席から流れる街並みを眺める。何故か皆がこちらを見ている。
「なんで、皆、こっちを見るんだろう?」
疑問に思いつつ家に到着すると、フロントスカートに猫が挟まり、引きずったまま走っていたことが分かる。ズタボロになり息絶えている猫を前に
「ああ、皆、これをみていたんだなねぇ」
結構な惨状なのだが、2人とも落ち着いて話す。
「また明日も話そうよ」と彼女は言い。俺は「そうだねぇ」と彼女を見る。やはり、その顔はどちらでもあって、どちらでもない。
目覚ましが鳴る。