夢の中。何故かピーター・ジャクソンと喧嘩をしている。正確な内容は忘れた。とにかく「デブ」だの「いつまで『ブレインデッド』の4Kリマスタやってんだよ!」だのと言いたい放題言っていたと思う。しかし、言い過ぎたと思ったのか、最終的には荻窪かどこかの喫茶店で仲直りのお茶をすることに。
「なんかすまん。パフェ、食べようよ。」「いやー、新作とか作ってたりするわけ?」などと言いながら店内に入る。すると、辛島美登里の「春は旅立ち」をCDラジカセから流しているグループがいる。
4分の曲が延々とリピートし続けている。「なぜ、辛島美登里なんだろう?」と思いながら、彼らに声をかける。
「ねぇ、なんで、なんでそんな曲、流してるのさ?」
すると一人の女が笑顔で「これ、止まらないの。っていうか、CDから直接流れるのよ。気持ち悪いでしょう?」と言う。
何を言っているのか意味が分からない。困惑していると、女はCDラジカセからCDを取り出し俺に渡す。確かにCDから音楽が聞こえている。さっきまでラジカセのスピーカーから流れていたはずなのだが……。この時点でPJの存在は消え失せていた。
「これは呪いなのだわーー」
女は、同じグループの男どもを睨み付けている。CDから音を出し続ける呪いってなんだよ!誰が得するんだよ!と思う。しかもCDから延々とリピートされる「春は旅立ち」は、リピートのタイミングが早くなっている。曲の途中で最初に戻るのだ。
「これは苦しみが早く繰り返されている。短くなって、ミジカクナ、ミジカ、ミジ、ミジ、ミジ、ミジ、ミジ、ミジ、ミジ、ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ」
女は狂ったように、「ジ」を繰り返す。曲はもはや1秒以下のループとなり、ディレイタイムを極端に短くしたような雑音なっていた。
「この苦しみを男に味合わせるのはこれが一番!」
突如。女が叫ぶと横の男が苦しみだし、体を”くの次”に折り曲げ前に倒れる。すると、その尻からブリブリという破裂音とともに赤子が飛び出してきた。赤子は泣き声を上げるわけでもなく、ただの真っ赤な肉のオブジェ。聞こえるのは男の悲鳴だけだ。女はその肉塊を取り上げると
「これを持て!持てぇぇぇぇぇ!」
叫び、俺に詰め寄る。慄き、逃げ出す俺。
「持て、持て!持て!持て!持て!持て!持て!持て!持て!持て!持て!」
あまりの恐ろしさに、外に出ようとガラス窓に飛び込む。ガラスが割れて……。
そこで悲鳴と共に目が覚めた。自分の悲鳴で目が覚めたのは、久しぶりだ。
この夢で一番怖いのは、辛島美登里の曲である。俺の頭、どこからそんな記憶を掘り出してきたのか。起きた瞬間、彼女の2枚目のアルバムの3曲目と浮かんだのだ。1,2回くらいしか聴いたことがないのに。っていうか、だれも知らないだろ。こんな曲。