香りと思い出と壊れる脳

 思い出とセットになった香りというものがある。猫のマーキング尿の匂いは、震災で潰れた実家を思い出すし、資生堂ルシードのヘアスプレーのに香りは「スーパーマリオ」で、キンモクセイの香りは学園祭である。

 それだけの話なんだけど、たまーに「なんの匂いだったか忘れてしまったけど、何かの思い出とセットになっている」ものがある。これが困りもの。

 街中をあるっていてフワリと鼻先をくすぐる香り。「ああ、この匂い・・・」と頭に昔の思い出が浮かびそうで浮かばない。思い出そうにもボヤーっとして思い出せないし、咄嗟に匂いの素を探しても、どこからきたのかわからない。

 脳がおかしくなっていると、鼻腔に不思議な匂いを感じると聞く。もしかしたら俺の脳みそがぶっ壊れ始めていて、何か忘れるべき事を忘れるときに、最後に香りを残して、記憶が消えていっているのかもしれないなと。

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