映画秘宝を降りた理由

 えーっと、爪痕は残しておきたいので書きます。3年間にわたって『映画秘宝』で連載をしていた「ナマニクの残酷Horror Anthology」ですが、実質、先月発売の2021年4月号で最終回になっています。5月号は単発の原稿依頼という形で寄稿しているのみです。

 ヨシキさんが去った後、DevilPressが無くなり、DevilPress内の連載の扱いをどうするか?という問題がありました。ヨシキさん正式離脱発表後、編集部(※1)から5月号は休載前提で保留と通知されていたのですが、3月上旬になり突然「枠を作ったので、未公開映画レビューを書いてほしい。ただし、連載ではなく他執筆者との持ち回りとなる」と連絡がありました。悪質DMの問題があったとしても、ちと連絡が遅すぎやしないか?と思ったのですが、せっかくの依頼なので受けることにしました。

 しかし、しばらく経つと違和感が湧き上がってきました。そもそも『未公開映画レビュー』は、私の持ち込み企画であり、それを田野辺さんとヨシキさんと私でチマチマと育てていったコーナーです。そこで「私の持ち込み企画が何故、他執筆者との持ち回りとなるのか?」と確認しました。その回答は

 「未公開映画で他に書きたいという人材が出てきた場合、彼らにも枠を用意するという意味。ひとりでコーナーを続けていると、どうしても硬直してしまうので、枠が変わって以降は、ある程度の自由さを保つ必要があります。書き手が出てこない場合はもちろん続投になります。」

 とのことでした。新しい芽を育てなければならないと言うのは、私も思うところであります。もちろん優秀な人材が出てきたら場所を譲る覚悟もありました。しかし、これでは新人が見つかった場合に「新人が見つかったので、来月は違う人が未公開映画を書く。ナマニクは休みで」といきなり告知されるとしか思えませんでした。

 エクストリームな未公開ホラーに限定するのか、それとも未公開映画という大枠で毎回変わった映画を紹介するのか、枠自体の方針も見えず、コーナーが硬直してしまうという対策も打てません。硬直を防ぐための作品選びも、多くの雑誌がやっているように、編集者さまと「これでいきましょう」話し合って決めるところではないか?それを踏まえて、”ナマニクが未公開レビューを書いている”と”新しい人材を確保する”とは別で考えるべきではないか?担当者を変更するのであれば「半年ごとに見直す」「年単位で見直す」等、明確なマイルストーンを設けるべきではないのか?ーー色々思うところを伝えたところ、返ってきた答えは

 「方針が気に食わなければ、休んでいいよ」

 でした。

「あれ?なんでそんな高踏的な対応なの?編集部と私って、そんな関係でしたっけ?今まで培ってきたものってなんだったの?」

 信頼関係が崩れた瞬間でした。(一つも依頼を断らず、ギリギリの依頼でも締め切りを絶対守ってきたのになあ)しかし、ここはこらえて読者さんのために5月号の原稿は出すことにしました。

 方針を変えたいのは理解できます。ただ、人の持ち込みネタの方針を勝手に変られた上、御用聞きのような扱いをされる覚えは、私にはありません。いくら何でも失礼すぎると思いました。以下を伝えて、再考いただくようお願いしました。

・未公開映画のレビューは、もともと私の持ち込み企画であり、相談なしの方針変更は承服しかねる
・作品選択には時間がかかるため、月単位で安易に担当を変えられては、こちらとしても対応しきれない
・今回の編集部の対応は、編集部と私の信頼関係を崩すものであり、猶予期間なしに編集部として今回のような判断をしたことは、執筆者への敬意が感じられない

 しかし、2週間経って(5月号が出るまでとは言いましたが、さすがに遅すぎる・・・)伝えられたのは「誌面リニューアルに合わせて、当該コーナーのテコ入れも含め、複数人によるリレー形式で進めます。不満は理解できる。しかし了解してくれ。」という文ででした。

 この回答をもって降板を決めました。仕事を頂戴している手前、私のわがままなのですが、今回のような企画横取りの上、方針変更といったやり方はあまりも高踏的な対応で納得が出来ません。編集部内でどのようなやりとりが行われたのか?次号は原稿が必要なのか?などの付随情報は一切ありませんでした。これで「不満は理解はするが、了解してくれ」と言われて「はい」と答えるようなお人好しには私はなれません。現在、悪質DMの件も未解決のまま放置されており、映画秘宝と関わるのはリスクしかない状況です。編集部の方々は5月号の宣伝もせず、内輪揉めに必死のようで(※2)、これ以上関わっても、私の人生にプラスになるようなことはないと思っての決断です。
 私は書き手として、読者のこと、そして当然のことながら自分のキャリアことを考えて編集部と向き合いました。編集部はどうなのでしょうか?私たち書き手、そして読者しっかりと向き合っているのでしょうか?なによりも悪質DMの件を解決しようとしているのでしょうか?紙面を変えることより、もっと大事な事があるのではないですか?編集部は映画を観て一体、何を学んできたのでしょうか?

 私は、ヘッポコ文筆屋なので、映画秘宝という名前がないと、もしかしたら消えちゃう存在かもしれませんが、泥水啜ってでも文筆屋としては生きていくつもりではあります。この機会に幅を広げて、もりもりと色々書いていくつもりです。

 またどこかで・・・(といっても多分、ここまで読んでくれた方には、間を置かずになる思いますが)お目にかかるのを楽しみにしています。

ではまた血の海でお会いしましょう。

※1 編集部とは誰なのか?とブコメやツイートを見かけました。編集部は編集部です。どこの誰でという話ではなく、映画秘宝編集部という組織です。
※2 2021/03/19 17:44 追記:私が「作った雑誌の宣伝ぐらいしろ」と言ったせいかわかりませんが、2021/03/19 朝から一斉に関係者の宣伝ツイートが始まりました。皆が「映画秘宝の宣伝を躊躇していた」としか思えないです。誰もが二の足を踏み、他人の出方を伺っている。私が解せないのはこういうところです。出てきた人に不備があれば、ひとまず棒でぶったたく。そりゃ、件の問題も解決する分けないですよ。

「映画秘宝を降りた理由」への2件のフィードバック

  1. おかしくなっていたのは岩田前編集長だけではなかったということですね。
    とても残念です。

  2. 薬真寺孝一

    とても残念な対応でしたね。創刊から読んでいましたが今回の諸々に嫌気が差しこれからは購入を辞める事にしました。田野辺さんと高橋さんには哀しみ以外感じません。ナマニクさんも嫌な対応を受け、残念です。これからの他媒体での活躍、楽しみにしています。長々と失礼しました。

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