トラウマ類語辞典の話

 朝、走りに出た以外、一歩も家から出ない日。映画を2本観て、久しぶりにトラウマ類語辞典に目を通す。これはレビューのネタによく使う辞典だ。俺は物を書く場合、読み手をブン殴るつもりで書いている。読み物としてスリリングな小説でありたいと思っているのだ。

 だから興行収入や監督、役者の過去作に滅多に触れることはない。そんな情報は人を殴る文章には邪魔でしかないからだ。テーマやレビュー対象が、読んでいる人間に爪痕となるような文章になるようマキビシを幕が如く文章を作る。この辞書は、どんなイベントが人としてトラウマになり得るのか?あるいは、人のトラウマを呼び起こせるのか?を体系的に書いてあるので、マキビシ作りに便利なのだ。

 「ああ、そういうことでも人は傷つくのねぇ」

 そうやって、新たな棘を見つけてはニヤニヤしている。この本からレビュー対象を決めることもあったりして、本当に便利な本なのだ。本の最初には「読むとダメージを喰らうので、読んだら休憩を入れるように」と書いてあるのも、なかなかコケ嚇し感もあって素晴らしい。

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